ゴマに含まれるたんぱく質とセサミンの関係
ゴマに含まれるたんぱく質とセサミンは関係があるの?
ゴマは、ゴマ油が取れることからも分かるように、糖質、脂質、たんぱく質の三大栄養素の中でも脂質が多い食品です。
一方、その脂質の多さに見逃されがちですが、たんぱく質も非常に豊富な食品でもあります。
ゴマのたんぱく質は私たちの体にどのような効果をもたらし、セサミンと何か関わりがあるのでしょうか?
今回は、ゴマに含まれるたんぱく質とセサミンの関係についてお話します。
ゴマに含まれるたんぱく質
ゴマは100gあたり19.8gのたんぱく質を含有しています。
成人が1日に推奨されるたんぱく質の摂取量が、男性で60g、女性で50gなので、ゴマが含有するたんぱく質の量が如何に多いかが分かると思います。
たんぱく質の役割
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たんぱく質は糖質、脂質と並び、体内でエネルギーに代謝※1できる栄養素です。
糖質や脂質が主にエネルギーに使用されるのに対し、たんぱく質は体の組織を作ったり、組織の機能の維持に使用されたりします。
たんぱく質は食事で摂取すると消化酵素でアミノ酸に分解され、体内に吸収されると再び他のアミノ酸と結合し体の構成に必要なたんぱく質に合成されます。
また、他のアミノ酸とは結合せずに、遊離アミノ酸として働くこともあります。遊離アミノ酸は単独で直接体に作用し、体の機能をコントロールします。
※1 代謝とは、ある物質を体内の化学反応で、別の性質の物質に変えること。
たんぱく質とアミノ酸
たんぱく質は、消化酵素でアミノ酸に分解され、小腸から吸収されます。
体内で必要なたんぱく質は、体内で生産ができないため食事での摂取が必要な9種類の必須アミノ酸と、他のアミノ酸から合成が可能な11種類の非必須アミノ酸に大別されます。
ゴマの必須アミノ酸
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ゴマは食物で摂取が必要な9種類の必須アミノ酸を、全種類含有しています。
ゴマ100gあたりに含有される必須アミノ酸の量は、以下の表の通りです。バリン 1100mg ロイシン 1500mg イソロイシン 840mg トリプトファン 370mg リジン 640mg メチオニン 720mg フェニルアラニン 1000mg トレオニン 780mg ヒスチジン 580mg
ゴマのアミノ酸スコア
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それぞれの食物が含有する必須アミノ酸が、人の体に必要な量をどれだけバランスよく含有しているかを示す数値に、アミノ酸スコアがあります。
アミノ酸スコアは、それぞれの必須アミノ酸が一定の量を満たしていれば100とし、満たしていなければ100より低い数字でその割合が示されます。
また、アミノ酸スコアの数値は、含有量が最も低いアミノ酸の数値が採用されます。
そのため、9種類の必須アミノ酸のうち1つでも欠いているようであれば、他の数値が全て100を上回っていたとしてもアミノ酸スコアは0になります。
ゴマはフェ二ルアラニンの含有量が低いため、ゴマのアミノ酸スコアは50です。
また、リジンの含有量も相対的に低い数値です。
しかし、それ以外の必須アミノ酸の数値は100を上回るものの多くあり、ゴマは非常に良質なたんぱく源であると言えます。
ゴマの非必須アミノ酸
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ゴマは非必須アミノ酸も豊富で、100gあたりに含有される11種類の非必須アミノ酸のうち、9種類の含有量は以下の通りです。
アスパラギン酸 1800mg アラニン 1000mg アルギニン 2700mg グリシン 1100mg グルタミン酸 4000mg システイン 520mg セリン 940mg チロシン 770mg プロリン 830mg 残りのアスパラギンはアスパラギン酸を、グルタミンはグルタミン酸を代謝し体内で生産が可能で、ゴマはどちらも豊富に含有しています。
そのため、ゴマは非必須アミノ酸も非常に豊富な食品と言えます。
ゴマの遊離アミノ酸
消化酵素で分解されたアミノ酸の中には、体内で他のアミノ酸と結合せず、単独で体の機能に作用する遊離アミノ酸となるアミノ酸もあります。
例えば、アスパラギン酸は細胞内でエネルギーを生産するミトコンドリアのクエン酸回路に糖質や乳酸を運搬する役割があり、疲労回復効果があります。
また、アルギニンは脳下垂体を刺激し、成長ホルモンの分泌を促進する作用があります。
各種アミノ酸が豊富なゴマは、健康維持にとても有効な食品と言えます。
セサミンの効果
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セサミンはゴマ全体の1%に満たない栄養素で、ポリフェノール性物質であるゴマリグナンの一種です。
セサミンは油に溶ける脂溶性の抗酸化物質と、女性ホルモンのエストロゲンと分子構造が似た植物エストロゲンの作用を併せ持った成分です。
セサミンはそのままでは抗酸化物質としての活性はほとんどなく、小腸で吸収され肝臓に運ばれ、そこでカテコール体に代謝されると抗酸化物質として活性化します。
そのため、セサミンは肝機能との関わりが非常に高い栄養素です。
ゴマのセサミンとアミノ酸が肝機能を改善する
肝臓の役割
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肝臓は「生体の化学工場」とも呼ばれ、1つの臓器で様々な役割を担う器官です。
肝臓は生体のエネルギーの生産、毒物の解毒、たんぱく質や酵素の生産、胆汁の生産、鉄の貯蔵などを行います。
肝臓は活性酸素が大量に発生する
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肝臓はエネルギーを生産する器官です。
エネルギーは肝臓の細胞内のミトコンドリアが、栄養素と酸素を取り込んで生産します。
その時取り込んだ酸素の0.5~2%が、副産物として活性酸素になります。
また、肝臓は酸素を運ぶ赤血球の主成分であるヘモグロビンを生産する際に必要な鉄を貯蔵しますが、その鉄からも活性酸素が発生します。
そのため、体内で発生する活性酸素の実に8割が、肝臓で生産されていると言われています。
※2 活性酸素とは電子が欠損した物質として不安定な酸素のこと。他の物質と結合することで物質としての安定化を図るため、普通の酸素に比べ化学反応が早い性質があります。
活性酸素は人体に有害な物質で、体の組織と結合すると変質化して機能が喪失し、細胞の遺伝子情報を司るDNAやRNAを傷つけ正確な細胞分裂ができないようにします。
活性酸素が増えると肝臓の機能が低下するため、肝臓では活性酸素から身を守るために様々な抗酸化物質を生産しています。
また、肝臓は必須栄養素のビタミンAやビタミンC、ビタミンE、植物特有の成分であるポリフェノールやフラボノイドなどの抗酸化物質を使用し、活性酸素の除去を行います。
セサミンとアミノ酸は抗酸化作用を発揮する
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肝臓は、ゴマに含まれるアミノ酸のグルタミン酸、システイン、グリシンを代謝して抗酸化作用のあるグルタチオンを生産します。
グルタチオンは細胞内に無数に存在し、ミトコンドリアで発生する活性酸素が他の組織と結合する前に捕捉し、無害化します。
しかし、加齢などで肝臓の代謝能力が低下すると、グルタチオンの生産力が低下します。
セサミンは肝臓で自らも抗酸化物質として作用する以外に、同じ抗酸化物質のビタミンEやグルタチオンを活性化する作用があります。
そのため、セサミンとたんぱく質が豊富なゴマは、加齢で低下した肝臓の抗酸化物質の生産を効果的に補え、活性酸素の害から肝臓を守れます。
セサミンとアミノ酸が血中コレステロールを抑制する
血中コレステロールが増える理由
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加齢やアルコールの摂取で肝臓の代謝機能が低下すると、エネルギーの生産力も低下し、肝臓に脂肪が蓄積しやすくなります。
肝臓に脂肪が蓄積すると、肝臓で生産されるコレステロールが増え、血液がドロドロになり動脈硬化など生活習慣病のリスクが高まります。
ゴマのトレオニンとアルギニンが肝臓の脂肪を減らす
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ゴマに豊富な必須アミノ酸のトレオニンは、新陳代謝を活性化し、肝臓に脂肪が蓄積するのを防ぐ効果があります。
また、非必須アミノ酸のアルギニンは成長ホルモンの分泌を促すことで、新陳代謝を活性化します。
新陳代謝は古い細胞を分解し、新しい細胞に入れ替えることで組織の機能を保つ生理現象で、膨大なエネルギーを消費します。
そのため、肝臓に蓄積した脂肪が燃焼され、肝臓の脂肪が減るので血中コレステロールが低下します。
セサミンは脂肪や血中コレステロールを減らす
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一方、セサミンは、脂肪を代謝してエネルギーを作り出す脂肪酸β酸化系酵素や脂肪酸酸化系酵素を増強する作用があり、脂肪の燃焼を促進します。
また、セサミンは小腸でのコレステロールの吸収を阻害し、尚且つ肝臓でのコレステロールの生産をも阻害します。
その結果、血中コレステロールを減らし、血液をサラサラにするので、肥満が原因の動脈硬化をはじめとした生活習慣病のリスクを軽減できます。
まとめ
ゴマはたんぱく質が豊富な食品で、食物で摂取が必要な必須アミノ酸9種類を全て含有して、尚且つ非必須アミノ酸も多く含有しています。
アミノ酸は体の組織を構成するたんぱく質になったり、遊離アミノ酸として体の機能に直接作用したりします。
アミノ酸の中には肝臓で代謝され抗酸化物質になるものがあり、セサミンと共に肝臓で発生する活性酸素の除去を行います。
また、トレオニンやアルギニンは肝臓の新陳代謝を活性化してエネルギー消費量を増やし、肝臓に蓄積する脂肪を減らして肝臓で生産されるコレステロールを減少させます。
セサミンも脂肪の分解や、血中コレステロールの減少を促進する作用があります。
セサミンとたんぱく質を豊富に含有するゴマは、加齢で機能が低下する肝臓の健康維持にとても効果的な食品です。
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