ゴマのビタミンBとセサミンの関係
ゴマのビタミンBはセサミンと関係するの?
ゴマは生活習慣病の予防やアンチエイジングに効果のあるセサミンを含有し、古くから「食べる丸薬」と呼ばれるほど、栄養が詰まった食品です。
ゴマは様々な栄養素を含有し、ビタミン群も豊富ですが、その中でも特にビタミンBを多く含有しています。
ゴマのビタミンBは体にどのように作用し、セサミンとはどのような関わりがあるのでしょうか?
今回は、ゴマに含まれるビタミンBとセサミンの関係についてお話します。
ビタミンBとは
ビタミンBは主に肝臓で糖質、脂質、たんぱく質のエネルギー代謝※1に補酵素として関与する水溶性のビタミンです。
ビタミンBは1つの栄養素ではなく、複数のビタミン類の総称なのでビタミンB群とも呼ばれます。
※1 代謝とは、ある物質を体内の化学反応で、別の性質の物質に変えること。
ゴマ100g中に含まれるビタミンB群と、成人男子(30~49歳)が1日に推奨される摂取量は以下の表の通りです。
含有量 | 推奨量 | ||
---|---|---|---|
ビタミンB1 | 0.95mg | 1.4mg | 67.9% |
ビタミンB2 | 0.25mg | 1.6mg | 15.6% |
ナイアシン | 5.09mg | 15mg | 33.9% |
パントテン酸 | 0.56mg | 5mg | 11.2% |
ビタミンB6 | 0.6mg | 1.4mg | 42.9% |
葉酸 | 93μg | 240μg | 38.8% |
ビチオン | 11.7μg | 50μg | 23.4% |
ビタミンB群はエネルギーの生産以外にも体の健康維持に関与しており、それぞれ役割が異なります。
ゴマに含まれるビタミンB群の役割を、簡単に見てみましょう。
ビタミンB1
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ビタミンB1は、主に糖質のエネルギー代謝に関与します。
また、皮膚や粘膜の健康を維持し、脳の神経細胞を正常に機能させる役割があります。
ビタミンB2
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ビタミンB2は、主に脂質のエネルギー代謝に関与します。
皮脂の分泌の調整を行い、皮膚や粘膜の健康維持に必要な栄養素です。
ナイアシン
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ナイアシンは三大栄養素のエネルギー代謝に関与し、生体で生産されるエネルギーの6割にナイアシンが使われます。
各種ホルモンの生産や、アルコールの代謝にも使われ、毛細血管を拡張する作用もあります。
パントテン酸
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パントテン酸は、三大栄養素がエネルギーに代謝される際に働く酵素の、補酵素となる栄養素です。
ホルモンやコレステロ―ルの合成にも関与します。
ビタミンB6
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ビタミンB6は、たんぱく質の代謝に関わる栄養素です。
各種ホルモンやたんぱく質、酵素の合成に関与し、神経細胞を正常に保つ役割があります。
葉酸
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葉酸はたんぱく質や、遺伝子情報を司る核酸の合成に必要な栄養素です。
ビタミンB6と共に、赤血球の主成分であるヘモグロビンの合成にも必要です。
ビチオン
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ビチオンは三大栄養素のエネルギー代謝に関与し、遺伝子情報を司る核酸の合成を促進する作用があります。
また、アレルギーで起こる炎症を抑制する作用もあります。
セサミンとは
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セサミンは、ゴマに含まれるゴマリグナンと呼ばれるポリフェノール性物質の一つです。
セサミンは油に溶ける脂溶性の抗酸化物質と、女性ホルモンのエストロゲンに似た分子構造の植物エストロゲンの機能を併せ持った栄養素です。
セサミンとビタミンB群は肝機能を高める
セサミンとビタミンB群は、肝臓の機能に深い関わりがあります。
ゴマでセサミンとビタミンB群を一緒に摂取すると、肝臓にどのような変化が現れるのか、詳しく見てみましょう。
肝臓の働き
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肝臓は別名「生体の化学工場」と呼ばれ、1つの臓器で様々な役割を担います。
肝臓は三大栄養素のエネルギー代謝、生体に必要な各種たんぱく質や酵素の合成、アンモニアなどの毒物の解毒、消化吸収に必要な胆汁の生産など、実に多様です。
セサミンとビタミンB群は、肝臓のエネルギー生産と密接な関係があります。
肝臓とビタミンB群の関係
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その中でも特に重要なのがエネルギーの生産で、ビタミンB群は肝臓でのエネルギー生産に必要不可欠な栄養素です。
ビタミンB群が不足すると、エネルギーの生産が低下し、疲労回復が遅れます。
また、エネルギー代謝が低下すると、摂取した栄養素が消費されず、脂肪に変換され肝臓に蓄積し肥満の原因になります。
肝臓に脂肪が多くなると、肝臓で生産される中性脂肪や悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールの分泌が増えます。
その結果、血液がドロドロになり動脈硬化のリスクが高まります。
肝臓は活性酸素を大量に発生する
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活性酸素※2は人体に有害な物質で、脂質を酸化させ過酸化脂質にしたり、細胞を傷つけ炎症を起こさせたりします。
また、遺伝子情報を司るDNAやRNAを破壊し、新陳代謝※2で正確な細胞分裂ができないようにするので組織の劣化を促進します。
※2 活性酸素とは電子が欠損した物質として不安定な酸素のこと。他の物質と結合することで物質としての安定化を図るため、普通の酸素に比べ化学反応が早い性質があります。
※3 新陳代謝とは、古い細胞を分解し、細胞分裂で新しい細胞に入れ替えることで、組織の機能を保つ生理現象のこと。
活性酸素は、主に細胞内でミトコンドリアが栄養素と酸素を取り込んでエネルギーを生産する際に、その副産物として発生します。
そのため、エネルギーを生産する肝臓は活性酸素が大量に発生し、人体で生産される活性酸素の8割は肝臓で発生していると言われています。
肝臓は抗酸化物質を生産して活性酸素を除去する
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肝臓は摂取した栄養素を用い、グルタチオンやカタラーゼ、SOD(スーパーオキシドディスムターゼ)などの抗酸化物質を生産します。
また、必須栄養素のビタミンA、ビタミンC、ビタミンEは抗酸化物質であり、植物特有のポリフェノールやフラボノイドなども抗酸化物質として作用します。
肝臓はこれらの抗酸化物質を動員し、自らが発生する活性酸素から身を守ります。
肝機能低下は活性酸素の増大を招く
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加齢やストレスなどで肝機能が低下すると、肝臓で生産する抗酸化物質の量が低下します。
その結果、自ら発生する活性酸素の処理が間に合わなくなります。
活性酸素は肝臓に蓄積した脂肪を過酸化脂質に変質させ、脂肪の分解を困難にします。
さらに過酸化脂質は自らも活性酸素を放出し、肝臓の組織を傷つけ肝臓の機能をさらに低下させます。
肝臓での活性酸素の増大は生活習慣病を招く
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脂肪の分解が困難になると肥満が促進され、動脈硬化や糖尿病のリスクが高まります。
また、肝臓の活性酸素が増えると、肝臓の組織が炎症を起こす肝炎になります。
肝臓は別名「沈黙の臓器」と呼ばれ、肝炎になっても自覚症状は殆どありません。
そのまま放置すると、やがて肝臓の組織が繊維化し機能しなくなる肝硬変に進展し、回復が困難になります。
セサミンは肝臓の活性酸素の除去に活躍
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セサミンは、それ自体では抗酸化作用をほとんど発揮しません。
セサミンは小腸で吸収されると、血液で肝臓に運ばれ、カテコール体に代謝されて抗酸化物質として活性化します。
他の抗酸化物質の多くは、血液で肝臓に運ばれる前に、血液中の活性酸素に反応し効果が薄れてしまいます。
一方、セサミンは肝臓に到着してから抗酸化作用を発揮するので、それだけ肝臓の活性酸素の除去に効果を発揮します。
セサミンは他の抗酸化物質も活性化する
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セサミンは、肝臓で生産されるグルタチオンの抗酸化作用を活性化させる作用があります。
また、同じ脂溶性の抗酸化物質であるビタミンEの作用も強化する効果があり、ビタミンEが多ければ多いほど、その効果を増大させます。
セサミンは自らが抗酸化物質として作用するばかりか、他の抗酸化物質の効果も活性化させるので、肝臓の活性酸素の除去に大きな効果を発揮します。
その結果、肝臓の機能が回復するので、疲労回復や生活習慣病のリスクが低下します。
ゴマのセサミンとビタミンB群は肥満を解消する
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セサミンは、脂溶性の抗酸化物質なので、肝臓に蓄積した脂肪の過酸化脂質化を抑制し、脂肪を分解しやすい状態に保ちます。
ビタミンB群、特にビタミンB2とナイアシンは脂質のエネルギー代謝を促進する作用があるので、ゴマでセサミンとビタミンB群を補うと脂肪の燃焼が促進され、肥満を解消します。
ゴマのセサミンとビタミンB群は血中コレステロールを下げる
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ゴマのビタミンB群は、肝臓の脂肪を燃焼して減らすことで、肝臓で生産される中性脂肪やコレステロールの分泌を減らす作用があります。
セサミンは、食物で摂取したコレステロールの小腸からの吸収を阻害し、さらに肝臓でコレステロールが合成されるのも阻害する効果があります。
これらの作用の結果、ゴマを摂取すると血中のコレステロールが減少し、血液がサラサラになるので、動脈硬化のリスクが低下します。
ゴマのセサミンとビタミン群は二日酔いを軽減
アルコール代謝の仕組み
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酒類に含まれるアルコールは、人体では毒物と見なされ肝臓で無害化されます。
肝臓に運ばれたアルコールは、アルコール脱水素酵素とアセトアルデヒド脱水素酵素で代謝され、無害な酢酸と炭酸ガスになります。
日本人が欧米人に比べお酒に弱いのは、先天的に肝臓で生産されるアセトアルデヒド脱水素酵素の量が少ないからです。
セサミンとビタミンB群はアルコールの代謝を促進
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セサミンは、このアセトアルデヒド脱水素酵素を3~4倍に増やす作用があるため、アルコールの代謝を促進します。
また、ゴマのビタミンB1とナイアシンは、アルコール代謝時に必要なエネルギーの生産や、ルコール脱水素酵素とアセトアルデヒド脱水素酵素の補酵素として大量に消費されます。
ゴマはビタミンB1とナイアシンを豊富に含有しているので、アルコールの代謝を早め、二日酔いの諸症状を緩和します。
まとめ
ゴマに含まれるビタミンB群は、肝臓のエネルギー代謝に必要不可欠な栄養素です。
肝臓はエネルギー代謝を行う際に、大量の活性酸素を放出するため、抗酸化物質のセサミンとビタミンB群を含有するゴマは、肝機能の維持に相乗効果を発揮する栄養素です。
また、ビタミンB群とセサミンは肥満を解消し、血中コレステロールの減少にも効果を発揮するので生活習慣病のリスクも低下します。
さらに、アルコール代謝も促進するので二日酔い対策にも効果を発揮します。
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